独立するという選択肢
介護業界のキャリアパスの一つに、独立という道がある。介護サービスの需要は増加傾向にあり、多様な働き方が求められている現代において、独立開業は魅力的な選択肢の一つと言える。
介護業界で独立しやすい事業形態には、訪問介護事業所と居宅介護支援事業所が挙げられる。訪問介護事業所は、利用者の自宅に訪問して入浴や食事の介助などを行う事業所である。比較的少人数で運営できるのも、独立しやすい理由の一つだ。また、初期投資も少額で済む場合があり、参入障壁が低いこともメリットである。
一方、居宅介護支援事業所は、介護を必要とする人が適切なサービスを受けられるように、ケアプランと呼ばれる介護計画を作成する事業所である。介護保険制度において重要な役割を担っており、需要も安定している。
特に居宅介護支援事業所は、主任ケアマネジャーの資格を取得していれば、1人でも独立開業が可能だ。主任ケアマネジャーとは、ケアマネジャーとしての実務経験を5年以上積み、研修を修了した人に与えられる資格である。ケアプラン作成の指導や助言、苦情対応など、より高度な専門知識とスキルが必要になる。そのため、独立開業を目指すケアマネジャーにとって、主任ケアマネジャーの資格取得は大きな目標となる。
1人でも開業できるということは、自分のペースで仕事を進められるというメリットがある。ただし、事業計画の策定、顧客獲得、サービス提供、会計処理など経営のすべてを自分で担う必要があるため、責任も大きくなる。独立開業には、介護に関する専門知識だけでなく、経営に関する知識も必要となるだろう。
介護職のキャリアアップについて
介護職は未経験者でも就労可能な場合が多い職種のため、多くの人にキャリアアップのチャンスがある。そのキャリアの初歩は、介護施設において施設利用者(要介護者)のサポートを行うことから始まる。2名または3名の要介護者を担当する場合が多いが、未経験者は介護スキルの習得や経験が不足しているため、先輩スタッフのアシスタントとして働き始めるのが通例だ。その後、経験に応じて単独でサポートにあたるようになる。
3名程度をサポートする業務に慣れるためには、個人差はあるが一定の時間がかかる。これは要介護者の状況(体調)や性格が千差万別だからだ。状況の違いのためにサポート業務は必ずしもパターン化できず、ベテランの介護スタッフも気が抜けない場合が多い。
単独でのサポート業務に慣れると、その次のステップは指導的あるいは管理職的な立場となる。経験が浅いスタッフを自分のアシスタントにつけて働く場合、要介護者とアシスタントの両方を見守る必要があるため、業務の難易度は上がる。また、介護施設の多くは24時間体制で動いているため、介護スタッフのシフト編成を担当する場合も少なくない。スタッフ間の相性を見極める必要もあるため、直接の介護業務とは異なる性質の仕事になる。
なお、介護職は無資格から始められる仕事ではあるが、今後キャリアアップしたいのならば資格は取っておくべきだろう。介護職の仕事の中には資格によって仕事の範囲が限定されるため、取得しておくと幅広く活躍できる。介護職に転職する前に、介護系資格の初心者向け資格である介護職員初任者研修を持っておくだけでも転職先の選択肢も広がる。介護の職場で長期的に活躍したいのなら、資格取得は必須といえるだろう。
また、このようにキャリアアップすると、報酬も次第に増額されるのが一般的だ。その後のキャリアは、管理職から経営側の立場へ完全に移行したり、現場を離れて介護スタッフを養成する専門学校などで講師を務めたりする事例がある。